大西洋クロマグロの附属書掲載提案は否決
【カタール、ドーハ、2010年3月18日】大西洋クロマグロをワシントン条約の附属書に掲載するモナコの提案は無記名投票の末、完全に否決された。
20ヵ国のみがモナコの最初の提案に賛成し、反対が68票、棄権が30票であった。直前に、EUによる修正提案もまた否決された。
「トラフィックはこの結果を残念に思う。なぜならこの提案はワシントン条約の附属書に掲載すべき明らかな事例だったからだ」とトラフィックの海洋プログラムのグレン・サントは言う。
絶滅のおそれがある大西洋クロマグロは、ヨーロッパの海域で漁獲される90%以上が主要な消費国である日本に輸出される。
大西洋クロマグロの管理は、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)によっておこなわれている。
しかしICCATは、過去に、自らの科学委員会が考慮した持続可能な限度を超えた漁獲枠を設定しており、これが過剰漁獲や資源の減少を導いた。
1992年に、大西洋クロマグロをワシントン条約に掲載する提案がスウェーデンから出されたが、すでに大西洋クロマグロ漁業に関して懸念を抱いている国々はICCATの枠組みの中で改められることができるという、ワシントン条約とICCAT両方に加盟していた多くの国々による約束によって、最終的には撤回された。
「悲しむべきことに1992年の約束は果たされず、我々はICCATの下での行動に頼るというあのワシントン条約の締約国会議でおこなわれた同様の間違いを再び犯すべきではない」とサントは言う。
「1992年以来、科学的な助言に沿って漁獲量を減らすというICCAT内での取り組みは深刻なほどおこなわれてこなかった。
これほどまでに、ワシントン条約が海洋漁業管理にとっての重大な挑戦へ関与することが必要であることが説得力をもって証明されたことはこれまでにない。」