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Published 19 October 2011

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薬用植物の保全がWHOの議題のトップに

【日本、富山発 2011年10月19日】
 薬用植物の専門家ら60人あまりが、日本の伝統薬や医薬品生産の中心地である富山に集まり、薬用植物の保全に関する改定版ガイドラインの内容や構成について合意した。


薬用植物の保全と持続可能な利用を推進するため 何が必要か専門家に話をするトラフィックの薬用植物プログラムのリーダー、アナスタシア・ティモシャイナ。 © Kahoru Kanari / TRAFFIC East Asia-Japan

この世界保健機関(WHO)の会議「WHO consultation on conservation of medicinal plants」は、富山県や富山大学の支援によって開催された。

 薬としての植物の利用は、世界的に健康管理の上で重要である。しかし多くの薬用植物種が生育域の消失、侵略的外来種との競合、気候変動、そして過剰採集によって絶滅の危機にさらされている。

 この会議では、WHO、国際自然保護連合(IUCN)、WWFおよびトラフィックから参加した担当者のチームが、薬用植物の保全に関する国際ガイドラインを改定するため、広く専門家の意見を募った。

 この富山での話し合いには、WHOの伝統薬アドバイザーやWHO指定の協力機関、政府機関、NGO、研究機関および植物薬産業の代表者など薬用植物の専門家が集まった。このガイドラインの草稿は、薬用植物の保全と持続可能な利用を推進するための行動について提言している。

 改定ガイドラインが出版されれば、WHOの加盟国だけでなく、植物学者、コミュニティ、消費者、政策立案者、産業界、伝統医療の施術者などの薬用植物にかかわりのある様々な関係者にとっても有益なものとなるだろう。

「健康を守る国際機関とのパートナーシップは、人々の健康と福祉にとって薬用植物が重要であるという共通認識と、薬用植物の継続的な供給についての共通の懸念を基に築かれたものである」とIUCN薬用植物専門家グループのリーダー、ダナ・リーマン氏は言う。

 「トラフィックは、このガイドラインの開発に関われることを嬉しく思う。こうしたガイドラインは、将来薬用植物を効果的に保全するために必要とされる行動について説明している」とトラフィックの薬用植物プログラムのリーダー、アナスタシア・ティモシャイナは言う。

 このガイドラインはもともと、1988年にタイで開催され、WHOとIUCNとWWFによる専門家会議に端を発しているものである。「植物を守り、生命を支える(saving lives by saving plants)」のアクションを求める「チェンマイ宣言」につながることにもなった。