スローロリスの取引はそれほどスローな状況ではない
【インドネシア、ジャカルタ発 2012年4月3日】
エキゾチックペットとしてのスローロリス類の需要増加を抑える努力が世界規模でおこなわれているにも関わらず、スローロリス類の販売は続いている。ジャカルタの動物市場では過去2週間で50頭が販売されているのが見られた。
スローロリス類はインドネシアの法律で完全に保護されているにもかかわらず、ショッピングモールや動植物の展示会(インドネシアの豊かな生物多様性への関心を高めようと企画されたもの)での販売も確認されている。
1週間前、ジャティネガラ(Jati Negara)市場でも30頭が販売されているのが確認された。この市場では日常的に公然とスローロリスが販売されている。
スローロリスは抱きしめたくなるかわいさで人気が高く、エキゾチックペットとして以前から需要があった。2009年に、あるスローロリスのYouTube 動画が急速に広まり、問題が国際的に注目されるようになった。
その後いくつかの国際組織や地元の団体が、こうした動画を削除させるためのオンライン署名キャンペーンを立ち上げた。また最近、インドネシアのスローロリス類に関するBBCのドキュメンタリーでは、スローロリス類の違法取引について消費者に伝え、これ以上違法取引が起きないようにしようと呼びかけをおこなった。
こうした状況にもかかわらず、いまだスローロリス類は東南アジア諸国の野生生物市場で普通に売られている。特にインドネシアの中心街のジャティネガラのような市場でよくみられる。
プラムカ(Pramuka)市場のようなジャカルタの他の市場もまた野生生物の違法取引の主要な拠点となっている。
「当局はこうした市場を取り締まり、野生生物の違法取引の主要拠点としてのインドネシアの評判を一掃する必要がある」とトラフィックサウスイーストアジアの地域事務局長代行クリス・シェファードは言う。
「公然とスローロリス類の取引がおこなわれていることは、地域随一の優れた野生生物保護法によって種の保護を約束するだけでは十分ではないという事実を浮き彫りにしている。インドネシアでの法執行は強化されなければならないし、一般の人々は野生生物の違法取引に加担するのをやめるべきである」とシェファードは言う。
インドネシアには3種のスローロリス類が生息しており(分類には諸説ある)、3種すべて取引が主な脅威となっている。スローロリスNycticebus coucangとN. menagensisがIUCNのレッドリストで危急種(VU)に、ジャワスローロリスN. javanicusは絶滅危惧種(EN)に分類されている。
シェファードは言う。「インドネシアには驚くほど多くの地域固有の野生生物がいる。それらを守るため、いまこそに実際に行動を起こす時だ。」