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Published 7 November 2011

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ブッシュミートの過剰利用と分類学の応用:生物多様性条約の準備会合SBSTTA会議にて

【モントリオール、カナダ、2011年11月7日】
 モントリオールで11月7日~11日に開催された生物の多様性に関する条約(以下、生物多様性条約(CBD))の科学技術助言補助機関(SBSTTA)の会議は、保全に関する重要な会議であり、トラフィックネットワークからも数名が参加した。


ボン・チャレンジ会議で設置された、2020年までに森林を1億5,000万ha を回復させる目標についてアピールするため、ビデオ映像で呼びかけるドイツのノルベルト・レットゲン環境相。© Roland Melisch / TRAFFIC

このSBSTTAの会議は、来年インドで開かれる生物多様性条約の締約国会議につながる準備の一環として開催された。

 トラフィックからは、生物多様性条約のブッシュミート(野生動物の肉)に関する連絡グループが提出した、改正についての提言の協議と、世界分類学イニシアチブ(Glocal Taxonomy Initiative)に向けた包括的な能力向上戦略というふたつの重要なテーマを議題として取りあげたが、いずれも将来的な保護の取り組みにとって深い意味を持つコンセプトでもある。

 来年の締約国会議は条約の最終的な意思決定の場となる。今回のSBSTTA会議での交渉の結果やその他の議題が、来年の会議に先がけ、条約の決定(decisions)案の中に盛り込まれることになるだろう。

 「トラフィックは、この会議から野生動物、特に熱帯・亜熱帯の種の保全や持続可能な利用についての確かな世界的枠組みができ、ブッシュミートと世界分類学イニシアチブの能力向上戦略に関する提言が、来る締約国会議での採択に向けて支持されることを望む」と、トラフィックのアフリカとヨーロッパを担当するシニアディレクター、ローランド・メリッシュは言う。

 ブッシュミートに関する連絡グループの提言は、今年はじめナイロビに集まった多数の専門家のグループによって改正され、幅広い合意を得た。ナイロビに集まったのは、生物多様性に関する3つの条約(CBD、ワシントン条約(CITES、移動性野生動物種の保全に関する条約(CMS))の事務局、国際連合食糧農業機関(FAO)、中央アフリカ森林協議会(COMIFAC)、先住民や地域コミュニティからの代表者、トラフィックを含むその他の専門家グループなどである。

 連絡グループによるブッシュミートの提言(Document UNEP/CBD/SBSTTA/15/12)について、トラフィックとWWFは共同でポジションペーパーを用意した。また、先週CBD事務局は、トラフィックの協力の下、作成した、『Livelihood Alternatives for Unsustainable Use of Bushmeat(持続可能でないブッシュミートの利用に替わる生計手段)』という新たなレポートを発表した。

 またトラフィックは、このSBSTTA会議期間中、生物多様性の保全と持続可能な利用を支援するため、法執行の現場で動植物を識別するために必要な能力構築のさらなる強化にも焦点を当てた。
 また、ペットや鑑賞用の動植物種として持ち込まれる侵略的外来種に関する国際基準の欠けている部分に取り組む手助けもおこなう。その他、2020年までにCBDの戦略計画を構築するための交渉支援にも、トラフィックは優先的に取り組む。

 前述のふたつのテーマを受けて11月8日に、トラフィックはSBSTTAの2つのサイドイベントにプレゼンターとして参加した。ひとつはトラフィックと生物多様性条約事務局、アフリカ先住民族調整委員会(Indigenous Peoples of Africa Co-ordinating Committee (IPACC))が共同で開催したブッシュミートに関するサイドイベント(開催案内PDF)。もうひとつは日本の環境省主催の、東・東南アジア生物多様性情報イニシアチブ(ESABII)プログラム下の分類能力構築の促進に関するサイドイベント(開催案内PDF)である。