センザンコウの密輸はいまだなくならず
【マレーシア、クアラルンプール発 2010年1月5日】
センザンコウ(アリを食べるうろこに覆われた動物)の密猟および違法取引は過去10年間で増大し、2009年末には、インドネシアでセンザンコウの委託販売用の肉700kgが発見されるなど、東南アジアにおいてセンザンコウの押収が絶えることなく続いている。
12月18日、マレーシアの警察は、クアンタンの東海岸の墓地で130頭のセンザンコウを2台の車の改造部分に積み込んでいた2人の男を逮捕した。報道によると、密輸業者らは、皮を剥ぐためセンザンコウを首都クアラルンプールに運び、輸出するためにマレーシア半島の最南端のジョホール州に輸送する予定であったと、パハン州野生生物局のカイーラ・モハマド・シャリフ局長が述べたという。逮捕された2人の男は起訴される見込みである、とシャリフ局長は言及した。
これに先立ち、12月15日、海洋警察(Marine Plice)は、マレーシアのムアルの町で62頭のセンザンコウを押収した。 生きたセンザンコウ18頭が、密輸業者らの家屋の前に駐車していた2台の車の中にあった袋の中で発見され、さらに13頭の生きたンザンコウが居間で発見され、冷凍されたセンザンコウ31頭は冷蔵庫の中から発見された。報道によると、センザンコウがムアルからマラッカの間の海岸沿いの違法な桟橋を使ってインドネシアから密輸されたと、当局は考えているという。密輸業者らは家宅捜索の一ヵ月前にこの家屋を借りて、海外へ販売しようとしている動物を保管していたということが、初動捜査によって明らかになった。
同じ週に、インドネシア警察は、南スマトラのコタ・ルブク・リンガウ(Kota Lubuk Linggau)の店舗で操業しているセンザンコウの密輸組織に踏み込んだ。警察は、生きているセンザンコウ14頭および死んだセンザンコウ1頭を押収し、密告情報に基づく捜査によって買い手1人を含む4人の男を逮捕した。
この数日前、インドネシア当局は、ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港で押収したセンザンコウの肉763 kg を処分した。センザンコウの肉は24箱に詰められ、海外で生産される催淫強壮剤の原料としての使用を目的としたものであったと、インドネシアのズルキフリ・ハサン林業大臣が述べているという。ハサン大臣はまた、インドネシアで保護野生生物の密猟が3%増加したと、報道陣に述べた。
国際的に保護されているにも関わらず、そして生息国や消費国において意識向上の努力がなされているにも関わらず、絶滅のおそれのある動物への需要は絶えない。
2000年にワシントン条約の締約国は、野生からとられて主に商業目的で取引されるアジア産のセンザンコウに対して、輸出割当をゼロにすることに合意した。
「違法に野生生物を取引している者に対する、地域の法執行官らの最近の取り締まりの成功については、称賛すべきだ」と、トラフィックサウスイーストアジアの事務局長代理のクリス・R・シェパードは述べた。
「しかし、自分たちの行為がアジアの自然資源にもたらす破壊についてまったく関心がない犯罪者を抑えるためには、より厳しい処罰が必要だ。」
「2010年がセンザンコウにとってより良い年になるように、ともに願おう。」