オバマ大統領 野生生物犯罪対策に1,000万ドルを約束
【タンザニア発 2013年7月2日】
米国大統領バラク・オバマ氏は、タンザニア訪問中、野生生物の不法取引とそれら不法取引に関わっている世界的な犯罪組織に対抗するための新しく大きな展開となる発表をした。その内容は、野生生物の不法取引に関する大統領管轄のタスクフォースの構築、野生生物の不法取引に対抗するためにアフリカの地域間、二国間での訓練、また、技術支援に対して重要な新たな支援として1,000万ドル(およそ10億円)を投じるという誓約を含む。
オバマ大統領は、武装集団や犯罪組織によって現在もたらされている密猟や不法取引の影響の概要について示した大統領令に署名した。
ゾウやサイ、その他の危機に瀕している保護野生生物種の存続は、経済、社会、環境に有益な影響を及ぼしており、それはすべての国家にとって重要なことである、とホワイトハウスは言及している。
オバマ大統領は、問題を解決するために米国政府の影響力ある新しい取り組みを発表した。それは、内務省、国務省、および司法省のリーダーシップによるハイレベルな省庁間連携タスクフォース-大統領管轄野生生物不法取引タスクフォース-の設立の他、外部専門家による特別委員会の設置を含む。
オバマ大統領は、野生生物の不法取引を解決し、人身売買や武器売買のようなその他の深刻な犯罪のように、どのような組織犯罪戦略が問題解決に有効かを検討するため、6カ月以内に暫定的な国家戦略を構築するようタスクフォースに指示した。タスクフォースは、密猟対策、地域の法執行、法執行の仕組み、不法取引とその需要の削減などに焦点をあてる。課題は、アフリカだけに内在しているわけではなく、米国も「野生生物に関わる合法的な商取引を可能にしながら、国内外で違法に取引される野生生物の消費を減少させるための努力」が必要である、と大統領はさらに言及した。
ホワイトハウスは、大統領令を介して導入される新たな対策の詳細と、この問題に関する米国政府の取り組みを通じたこれまでの成果に関する概要を記した報告書を昨日発表した。
それらは、アフリカとアジアの密猟対策、能力開発、アジアの消費削減キャンペーンなど、アフリカとアジア全域の野生生物保全の支援や、野生生物の不法取引に立ち向かうための支援が含まれている。
さらに、野生生物の不法取引の最近の動向の把握と、より広範囲の法執行と地域安全保障の問題に関わる野生生物不法取引の優先課題を明確にすることを目指した、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature:IUCN)とトラフィックによる3年計画に対する米国国際開発庁(US Agency for International Development:USAID)の支援の具体案も含まれている。
「野生生物の密猟と不法取引の増加に対処するためのオバマ大統領の誓約を、高く評価する。時宜にもかなっている」、「世界の野生生物は、ただちに止めなければならない国際犯罪に包囲攻撃を受けている」と、トラフィックの事務局長スティーブン・ブロードは言う。