ロシア:チョウセンニンジン(朝鮮人参)が押収される
【2010年7月2日 極東ロシア、ウスリースキー発】
中国へ行くバスから、野生のチョウセンニンジンの根160個がウスリースキー(Ussuriiskii)税関によって押収された。
チョウセンニンジン(オタネニンジンともよばれる)Panax ginseng は、ロシアの個体群がワシントン条約附属書 II に掲載され、国際取引が規制されている。
野生のチョウセンニンジンは毎年、沿海州地域で採取され、アジア太平洋地域に密輸されている。
6月27日に、ウスリースキー(Ussuriiskii)税関職員が国境サービス担当官と協力し、中国行きのバスに載せられた野生のチョウセンニンジンの根2.5kgが入った2つのポリ袋を発見した。中国国民の運転手は、彼の車にあるチョウセンニンジンの存在について説明できなかった。今度は刑事罰に問われる可能性がある。
押収されたチョウセンニンジンは識別のために送られ、その手続きに対してはトラフィックやWWFロシアのアムール支部のスタッフが支援している。
「専門家の推定によれば、ロシアの極東南部で毎年1t以上の野生のチョウセンニンジンが引き抜かれている」と、極東ロシアのトラフィックプログラムのコーディネーター、ナタリア・ペルブシナは言う。
「採取率は持続可能なものではない。そしてチョウセンニンジンのロシアがレッドデータブックに掲載されているにもかかわらず、タイガ地域では保護されていないままだ。違法取引のチェックだけが国境を越える際におこなわれているが、この種にとっての利益にはほとんどなっていない。」
WWFロシアのアムール支部の生物多様性保全プログラムのコーディネーターのパベル・フォメンコは言う。「私たちは押収された根が素早く野生に返されるか、またはナーセリーに返還されることを願う。」
「過去には、お役所仕事的な遅れにより、しばしば押収された禁制品は、たとえその根がまだ生存可能にもかかわらず処分されてしまっていた」と彼は言う。
今週、違法な野生生物取引を探す助けになっているこの地域の税関の探知犬サービスが2周年を迎えた。2008年6月にこのサービスができて以来、多くの違法な野生生物製品の押収事件があった。特別に訓練された犬のおかげて、税関職員によって特にカザンスカヤ(Khasanskaya)、ウラジオストクスカヤ(Vladivostokskaya)、ブラゴベシチェンスカヤ(Blagoveshcenskaya)でこうした押収がおこなわれた。
押収されたのは、クマの胆嚢、サイガの角、ジャコウジカの麝香嚢、野生のチョウセンニンジン、その他のワシントン条約掲載種などである。
「ある例では、北朝鮮の男性がジャコウジカの麝香嚢を紙にくるみ、小包にガソリンを振りかけ、それをポリ袋の中に入れ、さらにコンドームに入れていた。しかしそれでも、もっとも嗅覚するどい探知犬の1頭であるグレタを欺くには不十分であった」とナタリア・ペルブシナは言う。
現在76頭の犬がこのサービスで働いており、26頭が加えて野生生物製品を探知するよう訓練されている。トラフィックもWWFも、探知犬プログラムの設立以来このプログラムを支援している。